ミシュラン、革新的な技術で持続可能な未来を拓く
～タイヤ開発で培った技術を応用し、幅広い産業分野で革新的な複合材料を提供～
「すべてを持続可能に」を企業ビジョンとするミシュラン（日本法人本社：東京都新宿区、代表取締役社長：須藤 元）は、長年のタイヤ開発で培った素材に関するノウハウを応用し、「複合材料」を開発しています。本プレスリリースでは、ミシュランの革新的な複合材料技術とその応用事例についてご紹介します。
「複合材料」とは、優れた性能を持つ製品を作るために、異なる特性を持つ2つ以上の要素を組み合わせたものです。タイヤは、その構造上、極めて複雑な製品であり、著しく異なる、あるいは相反する特性を持つ原材料を含んでいます。それらの異なる素材を組み合わせることで、「過剰なエネルギー消費を伴わずにグリップ力を発揮する」、「長い製品寿命を保ちながら効率的なブレーキを実現する」、「柔軟性と強靭性を保持する」といった、一見相反する特性を同時に備えることができます。
レースで求められる究極の要求が、ミシュランの複合材料における専門知識を育む
ミシュランは、「ル・マン24時間レース」を走行する耐久レース仕様のハイパーカーへ独占的にタイヤを供給しています。これらのパワフルで洗練された試作車は、空力装置によりダウンフォース（下向きの揚力）を生み出し、タイヤに大きな負荷をかけます。ミシュランの専門家たちは、この負荷に対応するため、最適な原材料と配合ゴム（ラバーコンパウンド）の開発に取り組んでいます。
レーシングカーは競争が激しく日々効率化が進んでおり、その結果、レーシングカーは新しい技術や素材を開発するための重要な実験場になっています。ミシュランは長年にわたり、卓越した性能、長寿命、そして多機能性を追求する中で高い評価を得てきました。特に革新的な生産工程と効率的な複合材料の開発が注目されています。また、再生可能素材やリサイクル素材の使用割合も急速に増加しています。ミシュランのレース用タイヤ「MICHELIN PILOT SPORT Enduranceシリーズ」に込められた先進技術とノウハウは、新たな応用の可能性を広げる一助となっています。
ミシュラン、複合材料と革新的製品で世界のリーダーに
ミシュランは、長年のタイヤ開発で培った素材に関する知識を生かし、複合材料分野で世界のリーダーになるという目標に近づきつつあります。
同時に、高い付加価値を持つ特定市場で事業を展開する企業の買収により、新規分野における成長戦略を推進しています。その一例が、自動車、海洋、スポーツ、インフラなど重要な分野に革新的な複合材料を供給するFlex Composite Groupe (FCG)です。FCGとミシュランの知識を融合させることで、これら先進素材の理解と供給における更なる進展が期待されています。
他の具体例：
- ネオプレンコーティング生地
半剛性・空気注入式のボート、ブイ、さらには救助艇の製造に使用される素材に着目し、ミシュランは船舶分野への投資を進めています。
この生地は、繊維とポリマーを組み合わせた複合素材で構成されています。その結果、過酷な条件下で強い圧迫を受けても、構造上の強度と完璧な密閉性を維持できます。
- 冷却制御式の防火衣
ミシュラングループは、消防士に可能な限り効果的な防護を提供するため、皮膚温度を43℃以下、体温を最高39℃に保つ冷却制御式の防火衣を開発しました。この防火衣は、防護性の高い特殊生地を使用した外側のレイヤーと、涼しさを維持するため空気循環を取り入れた内側のレイヤーの組み合わせで作られています。
- 工業用コンベヤベルト
性能と安定性を損なうことなく長期間の使用に耐えられるレース用タイヤを製造するのと同様に、ミシュラングループは金属鉱石産業や農産業向けに、より頑丈な素材を製造することが可能です。ミシュランは、最高運転温度 200℃、耐熱限界温度400℃で機能する、高耐久性を備えた複合材料で製造したコンベヤベルトを考案しました。
- レーシングカーの車体パネルやウイング、自転車のフレーム、スポーツ用品
ミシュラン傘下のAngeloni Groupが製造するプリプレグ（熱硬化性）カーボンファイバーは、レーシングカーの車体パネルやウイングに使用される素材です。モータースポーツ分野以外でも、同系統のハイテク複合素材は幅広い分野で採用されています。軽量で強度が高いため、たとえば高性能の自転車フレームや、スキー用ヘルメット、ボート用オールなどのプロスポーツ用品に最適です。
上記の例は、ポリマーおよび複合素材分野における独自のノウハウを活用することで、どのような可能性が広がるかを具体的に示しています。これらの事例は、ミシュラングループが「複合材料と革新的製品で世界のリーダーになる」という決意を強く表しています。